緑のコトノハ

いつか人間になるかもしれません。ならないかもしれません。

2022/04/25

誕生日が来て、彼におめでとうと言われ、二十八歳は良いとか何とか彼に語り、いけしゃあしゃあとし始め、眠たくなって寝た。

二十八歳の早朝、生理痛で目を覚ました。薬を服用して再度寝た。

七時起床。今日から試験的に十六時間食べない時間を作る、巷で噂のアレをしようとなっていて、朝食はスキップすることにした。

八時頃彼とアパートを出、彼を家の前まで送り届けた後出勤。

九時から十八時まで仕事。新しく任される仕事の詳細を部長から言い渡され、担当者になったことが部署内で公表された。簡単に言えばデザイナーがする仕事内容なので、知識皆無の身で引き受けた状況を焦るべきなのだけれど、妙に落ち着いていた。二十八歳なのかもしれない。

午後は半年に一度の面談があり、面談担当のYさんに現在の心境を話しておいた。身体が丈夫でないので過ぎた事を言うのは憚られる。が、それでもやはり手持無沙汰過ぎる現状を「自分をもっとうまく使ってほしい」と表現した。ひょっともすると生意気な発言にとられ兼ねないと思いつつ、伝えるほかありませんでした。

お昼は彼が朝用意してくれたチョコレートのベーグルにマーマレードや練乳をつけて食べたけれど、あまり美味しいとは思わなかった。

帰り道、Mさんと一緒になり、昨日の苺狩りの話や誕生日であることを話した。「早よ言って下さいよ!」と言われたけれど、早く言ったとしてもだな、と内心思っていた。

二年前くらいまで長いことお付き合いしていたTちゃんから、LINEでメッセージカード?のようなものが届いていた。複雑な気持ちになった。二十八歳なのかもしれない。

朝、彼と家の前で別れてからずっと何の連絡も来ていない。既に若干不機嫌になってきていた。何だか寂しい気持ちになってしまって次女に電話をかけると、誕生日は一人で居てはいけない、付いている守護霊が皆居なくなる、と何やら最もらしいことを言うので、寂しい気持ちが助長されたような気がした。彼に会うかどうか伺いの連絡を入れておいた。

帰宅後、数十分経っても彼から返事がない。家族から帰っておいでよと連絡が来て、もう一度LINEを確認すると返事がきた。「家族にお祝いしてもらうのもありだね」という内容。荒れ狂っている且つ子供じみた返信をしてしまう。怒りと言うよりは傷つき、寂しくて哀しかった。電話をかけても出てくれなくて半泣き。本当の本当は“期待”というありきたりな乙女心を持つ自分に落ち込んでいたのだと分かった。

外泊の準備をして実家へ帰ることにした。一人暮らし住まいから帰るだけなのに、「実家に帰らせてもらいます!」の気分だった。

彼とLINEでやりとりしながら、もう取り返しのつかないところまで来てしまったな、と他人事のように感じていた。突然彼の立場に立ってみては、自分の地雷の掴めなさに嘆いたりもした。こんな思いをする人が地球上から少しでも減るように他人の誕生日は盛大に祝っていこう、と何度も気持ちを切り替えようとするも、無理らしかった。いっそ誕生日なんて一生来なければいいとも思った(それはもっと無理)。一緒に過ごして欲しかっただけなのに。スマホを落としただけなのに

実家に着くと、次女や姪が「おめでと~!」と迎えてくれた。嬉しいけれど、となる。次女は泣きっ面を見るなり、「普段優しい人はそうなのかもね〜、逆に普段クソな奴に限って、そういうこと(アニバーサリーの祝宴など)で機嫌とるの上手だから」と慰めてるつもりなのか馬鹿、みたいなことを言われた。「普段の方が圧倒的に多いし、どっちか選ぶならこっちの方が良いか…」と返しつつも、普段も誕生日もずっと優しくして欲しいだろ馬鹿、というのが本音。二十八歳じゃないのかもしれない。

数十分後に帰ってきた妹が、お寿司とケーキを買ってきてくれた。その数分後(二十時過ぎだったかな)に家のチャイムが鳴り、こんな時間に誰、と母が出たら彼だった。

家族に挨拶をしつつも、自分の元へ一直線に擦り寄ってくる彼、の緊迫した表情。此方が悪いことをしたような気分になる。

皆で寿司とケーキを食べた。姪は何度もバースデーソングを歌ってくれたし、父も近くへ来てくれて、二十二時頃まで語り合ってくれた。父が好きだー、となる。コインランドリーを経営したい、という話を父に延々と聞いてもらった。一昔は流行ったんだよ、とか、家庭用の乾燥機付き洗濯機、アレは駄目だ、とか、一台五十万は下らないから初期投資が、とか、コインランドリー愛を馬鹿にせず真面目に返してくれる父。

もう寝ようかな、と父が終わりを匂わせたので、自分と彼も帰ることにした。一人で過ごしたくなく、実家に泊まろうかと思ったけれど、寝る場所が無かった。

家の前で再度「ごめん」と謝る彼。此方のアパートへ行こうか?と訊いてきたが、自分が彼の家に行くことにした。

部屋に着いても、言葉にならない哀しみを涙を流すことでしか表現できず、彼が一人で言い訳めいた理由を話すのを聞いていた。湯に浸かっている間も、寝具で読書している間も寡黙の人で居た。