緑のコトノハ

いつか人間になるかもしれません。ならないかもしれません。

2022/03/17

朝方目を覚ましてしまってから眠れなかった。感覚的には五時過ぎだったと思う。鳥の声が春の音色で、早朝覚醒にしては気分のいいものだった。

起きて身支度を済ませてから、マヌカハニーを一匙舐め、ヨーグルトを食べる。地図状舌のようだった舌は、赤斑同士が一つになって大きな赤い模様になっている。

家を出る。運転をしながら昨夜気づかない振りをした感覚と向き合うことにする。これまでのIへ向けた執着にも似た好意の内、執着部だけが削がれたような感覚がある。呪縛のように想い続けていたことが不自然な気さえする。鳩が豆鉄砲を食ったよう。恋は幻覚症状だと実感を伴って理解できたように思う。執着は苦しかった、気分が穏やか。

ローソンに寄って温かいお茶と五個入りのあんぱんを買った。

九時から仕事。珍しく空腹で、持って来た全粒粉クラッカーをつまみながら作業する。お昼はおにぎり、あんぱんを一つ。クラッカーで満足しているお腹に頑張って収めた。午後は他チームの御三方にメルマガのレクチャーをする。三時間弱も話し続け、体力が削られた。部長から、退職の件について専務はガン無視で、代わりに新しい仕事を課してきた、と聞かされる。デザインの仕事だという。このまま理解が得られないようであれば、退職願?退職届?を提出し、黙って去るしかない、それは避けたいけれど。十八時退勤。終業間際、MさんKさんから外回りで貰って来たはまな味噌を譲って頂いた。ずっと体調が優れず、会社の体温計で検温すると今日は平熱だった。

真っ直ぐ家へ帰る道中、意識的に運転に集中してみる。初代の車はダイハツ・オプティの中古車だった。父が見つけてきてくれて、十八万とかだったと思うけれど、学生だった自分に買い与えてくれた。一目で気に入り、試乗で即決した。新卒で入った職場の同期を迎えに行った時にコナンのジンみたい、と言われ、更に気に入ったことを思い出す。前の主人が車好きか音楽好きだったのかウーファーが取り付けられていたし、シートの色味質感、外装、木目調のハンドル、運転の感覚、何もかもが好みで寿命で廃車になってしまう時は哀しかった。あの車をまた運転したい。

十八時半過ぎ帰宅。次女と姪が来ていた。夕食は鶏肉とキャベツ煮込みもの、ポトフ、菊芋と葱の炒めもの、卯の花のサラダ。どれも美味しかった。

家で沢山採れた大根を取りに来てもらう彼に連絡し、夕食も食べていってもらうことになった。彼が来る前にお風呂を済ませてしまう。

二十時過ぎに彼が到着。「Y~Y~」と飛び跳ねながら喜ぶ姪と玄関で出迎えると、彼も嬉しそうだった。夕食を準備して食べてもらっている間、彼が持ってきてくれたウクレレを弾き始めると、姪も興味津々。母が父のウクレレを二階から探し出して持って来たので、「あ、あったんだ」と彼と笑う。彼の為に父がメスティンで炊いたご飯から、キャンプの話にもなる。父と彼の共通点はあるとすれば多趣味、かもしれない。

食後、彼が買って来てくれたハーゲンダッツの新商品を食べてから自室へ行く。洋服の仕分けをほんの少しだけして、寝具に横になった。話をしたかった。例の如くまずは性行為をする。昨日の朝の行為については日記中で触れなかった、と彼に話すと「歯磨きをした、っていちいち書かないでしょ」と言っていて、いちいち書いてるかもなぁ、と思った。

東京への小旅行話から、Iのことがずっと好きだ、という話、M氏は尊敬している人で一度会ってみたいと思っているから東京へ行く部分もある、という話をする。場合によっては別れることになると理解して、現時点での混沌とした胸中を伝えた。選択肢(道)が沢山見えるから、結婚が薫る話は苦しいという事。決して彼を軽んじてるわけではなく大切に思っているという事。浮気であるという感覚ではないがそう取られても仕方が無いと思っている事。一般的には傷つく話だという理解をしているが、傷をつけたくて話すわけではないという事。やはり本当の想いを話していると涙が出てくる。

彼は真剣な面持ちで応えてくれた。彼は一途に自分を想っているが、守りたいからこそ自分には何よりも自由にしていて欲しいという事。お付き合いはじめの頃から知っていた事だから、いずれ自分が彼だけを見るようになればいいな、と彼は思っているという事。話してくれて安心している、という事。職業柄個人の常識に囚われず柔軟に考えたいと思っているから、と、考えの理由も説明してくれた。只、あくまで彼の話は“考え”なのであって、気持ちは別にあるのだろうと感じ取った。

二十三時を回ってしまっていたので、大根を渡して彼を帰した。歯磨きを済ませた後、自室へ行って寝た。

“好きな人や物が多すぎて見放されてしまいそうだ”