2021年11月29日月曜日
(ハイライトだけ)
匂いと言うのは一体何なのだろう。
物凄く、物凄く、大きな人と寝た。
巨大、と言ってもいいと思う。
事実は小説よりも奇なり、みたいな人生。
寝たと言っても行為以前の問題で、避妊具すら装着できない程に大きい。
装着できたとてこの身におさまるわけがないと思った。
外国製のものがいいのではないか、相手は経産婦がいいのではないか、と伝えた。
「お願いします。」
「すべすべだ…綺麗です。」
「本当にありがとうございました。」
娼婦はこのような気持ちだろうか。
これを繰り返すと比喩的に汚れていくと言われるけれど、自分の場合は全く逆である。
どんどん研ぎ澄まされていく。
どんどん自分と外界を隔てる壁が強固になっていく。
心と身体の別離。
修行みたいだ、と思う。
堅い殻がもう少しで完成しそうだ。
殻の中は、とても静謐で完結した世界。
ホテルを出てYさんのアパートへ忘れ物を取りに行く。
車で待っているとお疲れ様です、と無垢の笑みで窓を叩くYさん。
それまで凍えていた心が急に温かくなった気がした。
帰宅してからは染みついた匂いに悩まされた。
腹痛と悪寒に苦しみ、今日のことを肉体は嫌がっていたのだと知る。
ごめんね、もう少しだから、と自分も知らない言葉が出る。
自室にはサメとクマたちがいる。
安心してしまう。
匂いと言うのは一体何なのだろう。